ネコはその愛らしい外見や美しくも神秘的な瞳、やわらかい体毛、しなやかな体、ぷにぷにの肉球などで人間に長く愛されてきました。「にゃーん」と言って甘えてくるしぐさもたまりませんし、甘えたかと思えばふいっと離れていってしまうツンデレな性格もたまりません。もともとはネズミを捕獲させる目的で飼われ始めたネコたちですが、今日では人の心を癒す大切なパートナーとして大変愛されています。今回はネコたちが、外見や性格だけでなく、その存在意義から猫が愛されてきた理由を探りたいと思います。

ネコの祖先はヨーロッパヤマネコで、もともとネズミを捕獲させる目的で飼われ始めました。人類史上農耕が始まって以来、穀物を蓄えるようになったことでネズミの害を受けることが多くなり、ネズミを狩るネコが重宝されるようになりました。ネコの痕跡として見つかっているのは、今からおよそ9500年前の地中海にあるキプロス島の遺跡からです。ネコが埋葬された目的ははっきりとわかっていませんが、飼い猫とも、宗教的意味とも考えられています。その後エジプトではライオンの代わりに崇拝され、ネコの頭を持つ神様もいました。中国では稲穂の精霊と同一視されたり、中世ヨーロッパでは穀物をねずみから守る、豊穣と富の象徴と見られました。

一方日本では、弥生時代(紀元前10世紀ごろ~紀元前3世紀ごろ)の遺跡から、ネコと思われる骨の一部が見つかっています。奈良時代ごろには経典をネズミの害から守るために中国から輸入されました。その後、奈良時代の少し前あたりにネコを飼ったという記述が「日本霊異記」にあります。平安時代には愛玩動物として飼っていた記録があり、宇多天皇の書いた日記にはかわいがっていた黒猫の記述があります。鎌倉時代には、金沢文庫という日本最古の武家文庫で書籍をネズミから守るために中国の南宋から輸入された猫が飼われていました。ちなみに、ネコが書籍を守るということは海外でもあり、紀元前4世紀ごろには、エジプトの書院で、蛇やネズミなどを捕らえるための訓練をされたネコがいたことが記述に残っています。安土桃山時代には、ネコの瞳孔で時間を知るために、戦争に連れて行かれたこともありました。江戸時代には、養蚕農家でネズミ捕りとして重宝されました。しかしながら本物のネコが少なかったため、猫の絵を描いたものをネズミ除けとして養蚕農家に売ることもあったそうです。これが招き猫の始まりとなったと言われています。農作物や蚕に被害を及ぼすネズミを駆除するネコは商売繁盛につながるため、福を呼ぶ動物と言われるようになりました。なお、東京の立川には、養蚕の盛んだったこの地域で蚕の天敵であるネズミを狩るネコが祭られている神社があります。

このように、愛玩動物としてだけでなく、生活を支える大事なパートナーとしての役割からも、猫は大事にされ、愛されてきたのではないかと思います。ネコとの関わりには大変な一面もありますが、これからもネコとの関係を大切に守って生きたいですね。

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この記事を書いている人: KEI
外部ライターのKEIです。飼っている猫はタマ(♀ 15歳)。世界中で撮影した猫の写真や、話題になった猫関連のトピックスなどを紹介していきます。

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ネコと人間の関わりから見るネコが愛される理由