私たちの身近にいるペットの猫と犬。猫はするすると木に登り、犬はそれを下から見てワンワンほえる…というイメージが浮かびます。

でもなぜ猫は木に登ることができ、犬は木に登るのが不得意なのか?登るときの動作から、体の構造の違いについて見てみましょう。

猫の木登り

1、木を両腕で挟み込む
木には細い木も太い木もあります。そのサイズに合わせて、一番木に密着するよう両脚の間隔を調整して挟み込みます。このときに必要な機能は鎖骨であり、鎖骨があるからこそ腕を左右に動かして両腕の間隔を調整することができます。しかしながらこの動作ができるのは、動物では霊長類以外にはあまり多くありません。この動作ができるのは、鎖骨がある猫科動物やハムスター、リスなどのげっ歯類です。(ただし猫科動物でも鎖骨のない動物はいます。)
犬は鎖骨がないため、猫ほど左右に両脚を動かすことはできません。

2、前腕をひねって手のひらを木にくっつける
前腕とはひじから下の腕の部分です。鎖骨があって物を挟み込むことができたとしても、手のひら部分が木の表面に設置していないと、しっかりホールドすることはできません。前腕をひねることは犬にもできますが、猫ほど大きくひねることはできないようです。

3、爪を引っ掛ける
猫の爪はご存知のとおり、鉤爪で先端が非常にとがっています。木に引っ掛けるのにちょうどよい構造になっています。爪を引っ掛けて体重を支えます。猫に比べて犬の爪は先端がとがっていないので、木には引っ掛けづらいということが分かります。

4、手を握って木に爪を食い込ませる
猫は手を器用に閉じたり開いたりすることができます。手を握ることで爪を木に食い込ませて、よりガッチリと固定することができます。犬の場合、そこまで器用ではないようです。

猫と犬

以上、猫と犬の木登りの得意・不得意を体の構造から見て見ました。犬は地上で狩りをし、地面を走るのに適した体の構造になっています。両脚が左右に動かないのは、早く走るために脚を固定するためであり、爪がとがっていないのは、地面を走る際に引っかかりにくいためなのです。

猫は樹上から敵の動きを察知したり敵から身を守って来ました。生活の違いから、木に登る必要・不必要が生まれ、それぞれの生活の仕方に適した体の構造になっていったのですね。

kei

この記事を書いている人: KEI
外部ライターのKEIです。飼っている猫はタマ(♀ 15歳)。世界中で撮影した猫の写真や、話題になった猫関連のトピックスなどを紹介していきます。

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