大人気のインスタグラムでは、「インスタ映えしない」ということで黒猫さんの人気はいまいちのようです。また、黒猫が目の前を横切ると不幸になるとか、魔女の使い魔であるとか、あまり良いイメージがありません。しかしながら、黒という色は高級感を感じさせる色でもあり、ネコが元来持つしなやかさや美しい目の色などとあいまって、神秘的ですらあります。なぜ黒猫には不吉なイメージがあるのでしょうか?

<ネコの象徴的意味>

ネコはそもそも、人間が農業を開始し、とれた作物を貯蔵する際、穀物を荒らすネズミを捕らえるものとして、人間との関係が始まりました。そこからネコは豊穣と富を象徴する存在になりました。豊穣は穀物が豊かに実ることであり、実った後は枯れていきます。そしてまた種をまくことで再び芽を出し、穀物を実らせ、また枯れていく。このサイクルが再生と死を表し、豊穣の象徴であるネコにも、死と再生も象徴するようになりました。

また、ネコの瞳孔は光によって大きさが変わりますが、大きくなったり小さくなったりする瞳が月の満ち欠けにたとえられました。月もまた満ち欠けを繰り返すものであり、新月で消失し(死)、また復活する(再生)ことからも、ネコは死と再生を司るものとして考えられてきました。後世では、死の部分が強調されて、中世ヨーロッパで魔女の使い魔とされました。

<黒の持つ意味>

このようにネコには豊穣と富という喜ばしい意味を持ちながら、一方で死と関連するものとして不吉なものと捉えられたのかもしれません。また、黒色というものに着目してみると、黒は闇を意味するものであり、闇→地中→死といった連想がされました。これは西洋でのイメージなのですが、日本の場合は仏教でのお葬式やお坊さんの着る服の色が黒であることもあり、黒→仏教→葬式→死といった連想が生まれました。黒色からも死のイメージが連想されます。

<黒猫は幸運のシンボル?>

一方で、黒猫は幸運のシンボルとされているところもあります。イギリスでは黒猫自体幸運のシンボルとされ、飼っていると海難事故を避けられると信じられていました。また、クリスマスカードには黒猫がモチーフとしてよく描かれています。フランスでは黒猫を大事に世話するとお返しに豊かさをもたらしてくれると信じられていました。スコットランドでは玄関先に知らない黒猫がいると繁栄する兆しと捉えられていました。

以上のように、黒猫は地域によって幸運のシンボルともされています。一方で死のを司るものとも考えられてきました。しかしそのどちらも、ネコの神秘的な魅力からくるものではないでしょうか?いずれにしろ、大事な存在であればそんなことは関係ないかもしれませんね。


黒猫は不吉?