徳島県にある、NPO法人・動物福祉団体HEART TOKUSHIMA(ハート徳島)さんにお伺いしました。

ハートさんは、アニマルシェルターを有し、捨てられたり虐待を受けたりした、犬や猫を保護・治療し、里親さんを探す活動をされています。

カナダ出身のスーザン・マーサーさんが代表を務め、旦那さんの東條仁志さん、スタッフやボランティアの方達で運営されています。
これまでに約2000匹を保護し、約1600匹を里親さんに引き渡しました。(2020年1月現在)
中には、海外からのボランティアさんが一緒に連れて帰り、ハワイ・カナダ・ベルギー・フランスなどに里子に行った子達もいます。
TV番組『天才!志村動物園』にも出られたことがありますよ。

ジョーイちゃん

ハートさんの活動は今から約20年前、1匹の猫ちゃんから始まりました。

スーザンさんが徳島に来て、暫くしたある日のことです。仕事の帰り道に、コンビニの前に1匹の子猫がダンボール箱に入れられて、捨てられているのを見つけました。見たところ、生後約3週間の子猫でした。

人通りの多い場所にも関わらず、誰にも気に留められず1匹でいる小さな子猫がどうしても気になって、保護することにしました。

その子猫はジョーイと名付けられ、スーザンさんと東條さんの家族として迎えられました。(はじめ動物病院で男の子だと言われ、この名前にしたのですが、後に女の子だということが判明したそうです)

ジョーイちゃんは人見知りで、お客さんが来た時などは怒ってしまっていたそうです。
普段は、ネズミのおもちゃが好きで、投げては拾ってくるという遊びを気に入っていました。

スーザンさんとジョーイちゃん

ジョーイちゃんの事があってから、多くの野良猫を見る度に、その子達が行き着く先を知りたいと思い調べていきました。
すると、当時の徳島には、保護団体が保有しているアニマルシェルターは無く、捕獲され、引き取り手が見つからない犬や猫は、殺処分になることが多いと分かったそうです。

そんな現状に心を痛め、殺処分が少なくなるようにと願って、自費でTNR活動を始めることにしました。{TNRとは、Trap(トラップ):捕獲し→Neuter(ニューター):不妊手術を行い→Return(リターン):猫を元の場所に戻すことです。}

同時に、動物の性質の本や、医学書で動物のことを勉強しました。

そして、活動をしていくうちに、もっと動物に関する知識を広げたいと、県外のシェルターを保有している団体を招いて、シンポジウムを開催しました。そこから、動物福祉団体HEART徳島を立ち上げました。2006年の事です。

ハート徳島を立ち上げてからは、犬の保護活動もするようになり、県内や県外の救助要請に応じ、西は福岡、東は神奈川まで、多くの動物のレスキューに向かうようになりました。
また、シェルター設立の為の基金を募集し始めました。

当時、徳島県立愛護管理センターから動物を引き出す時は、一般譲渡と同じように、センターが動物にかけた医療費等を、ハートさんが払ってから引き出しをするというシステムでした。(センターに払う費用は、次に収容された動物の医療等の為に使われます)
しかし、もっと沢山の動物を助けられるように、行政に掛け合い、話し合って、県の登録動物保護団体は、出来るだけ安価で引き出しが可能となるように、センターや行政と協力して『団体譲渡』というシステムを作りました。
避妊・去勢手術の啓蒙や、マイクロチップの装着も、10年という長い年月をかけて広げていきました。

2010年にはNPO法人化し、動物福祉団体HEART TOKUSHIMAと名前を変え、更に活動の幅を広げていきました。

翌2011年は、東日本大震災があった年です。ハートさんは、震災が起こってから10日後に、飼い主と離れ離れになった、犬や猫のレスキューに現地へ向かいました。そして、被災地から約100匹の犬と、30匹の猫を助け出しました。

その年に、その時まで募ってたシェルター基金で、シェルターを建てる為の土地を購入することができ、それまで別々の場所で保護していた沢山の動物たちを、1箇所に集めることができました。
現在もその土地で、およそ190匹の犬と猫が保護され、新しい家族を待っています。

シェルターで保護されている、里親募集中の猫ちゃん達

お話を伺って、1匹の猫との出会いが、大人の人生をこんなにも変えるものかと驚きました!
国内外の団体やボランティアとの連携や、行政までもを動かす力は、命を守って、その先も心身共に健康な一生を送ってほしいという思いからだそうです。

現在、多頭崩壊の現場が増え、センターに収容される犬や猫が多いそうです。殺処分を行う行政が悪いのではなく、動物と人間の命と生活を守る為にも、飼えない数まで増やさない、という事がとても大切だとおっしゃっていました。避妊・去勢手術の大切さは長年保護活動されている方からの、経験を元にしたメッセージです。
10年・20年先は今と同じレスキューをしなくてもいい社会を、とおっしゃっていました。

大きくなったジョーイちゃん

ジョーイちゃんですが、スーザンさん・東條さんご家族に17年間大切に育てられ、天国へ旅立ちました。

1匹の子猫から始まった活動は、今も多くの動物を救っています。

ジョーイちゃん、あなたのパパとママは、今もあなたの仲間達を沢山助けていますよ。

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人生を変えた猫 NPO法人 動物福祉団体 HEART TOKUSHIMA